子どもの就職活動に対する保護者の意識は、年々変化しています。特に経済的な安定や給与の高さに対する関心が強まる中、保護者はどのような企業に就職してほしいと考えているのでしょうか?
「マイナビ 2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査」の結果をもとに、最新の傾向を見てみましょう。

  • 調査期間:2024年12月20日(金)~12月24日(火)
  • 調査方法:WEBアンケート
  • 調査対象:「大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中」の子どもを持つ保護者
  • 調査機関:株式会社マイナビ(モニター提供元:株式会社クロス・マーケティング)
  • 有効回答数:1,000名

保護者が子どもの入社企業に求める条件のトップは以下の通りです。

  1. 「経営が安定している」(54.1%)
  2. 「本人の希望や意志に沿っている」(20.6%)
  3. 「社風や雰囲気が良い」(16.5%)
  4. 「福利厚生が充実している」(16.4%)
  5. 「給与や賞与が高い」(14.4% / 前年比+2.3pt)

前年と比較して、「給与や賞与が高い」という項目が増加しており、経済的な安定を重視する傾向が強まっています。

子供に働いてほしい企業・就職先(右)学生の人気企業ランキング/ マイナビ 2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査 より

保護者が知っている「話題の就活ワード」として、以下が上位に挙げられました。

  1. 「お祈り」(22.1%)
  2. 「勤務地ガチャ・配属ガチャ」(21.5%)
  3. 「オワハラ(就活終われハラスメント)」(20.7%)
  4. 「早期選考」(19.8%)

就職活動の開始時期が年々早まることに対し、保護者の26.9%が「問題だと感じる」と回答。特に、学業への影響を懸念する声が多く聞かれました。

保護者が子どもに働いてほしい企業ランキングは以下の通りです。

  1. 公務員(安定性の高さが魅力)
  2. トヨタ自動車(国内最大手メーカー)
  3. NTT(日本電信電話)(通信インフラの強み)
  4. 伊藤忠商事(総合商社としての成長性)
  5. ソニー(グローバルな活躍が期待できる)

民間企業では「トヨタ自動車」が最も人気で、「NTT」「伊藤忠商事」「ソニー」などの大手企業がランクインしました。一方、外資系では「グーグル」が根強い人気を誇ります。

子供に働いてほしい企業・就職先(右)学生の人気企業ランキング/ マイナビ 2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査 より

子どもの内定企業から「内定確認の連絡(オヤカク)」を受けた保護者は 45.2% にのぼりました。
また、企業から内定式・入社式の案内を受けた保護者は 17.6% で、そのうち 39.2% が実際に参加しました。保護者の参加率の高さから、企業の誠実な対応が好印象を与えていることがわかります。

物価の上昇によって、家庭の支出や子どもとの関わり方に変化が見られました。

  • 「家族イベント(外食や旅行・レジャーなど)を減らした」(19.4%)
  • 「子どもの奨学金を申し込んだ」
  • 「子どもの仕送り(生活費用)・小遣いを減らした」

さらに、保護者が受けた影響として、最も多かったのは 「自宅の食費が上がった」(65.3%)で、次いで 「自宅の水道光熱費が上がった」(60.8%)でした。物価上昇は、家計への負担を増やすだけでなく、家族団らんの機会にも影響を及ぼしていることがわかります。

賛成意見

  • 「物価が上がる前に実施してほしかった」
  • 「学生が学費を稼ぐために必要な措置」

懸念の声

  • 「学業が疎かになるのではないか」
  • 「アルバイトよりも奨学金や学費支援を充実させるべき」

保護者の中には、アルバイトによる収入を増やすよりも、学業に集中できる支援の方が重要だという意見も多く見られました。

今回の調査結果から、以下のトレンドが読み取れます。

  1. 経済的安定への関心の高まり
    • 「経営の安定性」や「給与・賞与の高さ」を重視する保護者が増加。
  2. 就職活動の早期化に対する懸念
    • 「早期選考」の認知度が高まり、学業への影響を心配する声が増加。
  3. 親世代の「公務員」志向の根強さ
    • 公務員が最も人気の就職先として選ばれ、安定性を求める傾向が継続。
  4. 企業の保護者対応の重要性が増加
    • オヤカク(内定確認)の経験率が45.2%と高く、企業の保護者対応が影響を与えている。
  5. 「103万円の壁」引き上げに対する複雑な意見
    • 賛成意見が多いが、学業への影響を懸念する声も多く、新たな支援策の必要性が示唆される。
  • 就職活動の開始時期が早まっている
  • 保護者が求める企業の条件は「経営の安定性」と「給与の高さ」
  • 子どもに働いてほしい企業1位は「公務員」、2位は「トヨタ自動車」
  • オヤカク(内定確認)の経験率は45.2%
  • 103万円の壁の引き上げに賛成の声が多いが、学業への影響も懸念されている

今後も、保護者の意識と社会の動向を踏まえながら、より良いキャリア支援のあり方を考えていくことが求められそうです。

以下は本記事のもとになった「2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査 | マイナビキャリアリサーチLab」のページです。

2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査 | マイナビキャリアリサーチLab

【2025年版】2024年度に就職活動を行った子供の保護者を対象にマイナビが就活に対する意識調査を実施。子供の内定企業から入社式に案内を受けた保護者のうち4割が「参加予定である」と回答。物価上昇の影響で「家族イベント(旅行・外食など)を減らした」という保護者が約2割。