こどもの教育費の準備は、多くの家庭にとって重要な課題です。学資保険と定期預金は、どちらも教育資金を蓄える手段ですが、それぞれ異なる特徴があります。
近年は日銀の政策金利引き上げにより定期預金金利が上昇しつつあり、選択肢が広がっています。ただし、金利上昇が続く保証はなく、経済変動による影響も考慮が必要です。
本記事では、学資保険と定期預金のメリット・デメリットを比較し、併用方法について解説します。
学資保険とは?その特徴とメリット
学資保険の概要
学資保険は、こどもの教育費を計画的に準備するための保険商品です。契約者(親)が毎月一定額の保険料を支払い、満期時や進学時に給付金を受け取る仕組みです。
学資保険のメリット
- 計画的な貯蓄が可能:毎月一定額を積み立てるため、貯蓄が苦手な方でも確実に教育費を準備できます。
- 保障機能付き:契約者が死亡または高度障害となった場合、それ以降の保険料支払いが免除されます。また、満期金や祝い金は予定通り支払われます。
- 返戻率が高い商品もある:返戻率(受け取れる給付金総額 ÷ 払込保険料総額 × 100)が100%を超える商品も多く、効率的な貯蓄が可能です。
学資保険のデメリット
- 流動性が低い:満期まで引き出せないため、急な出費には対応できません。途中解約すると元本割れするリスクがあります。
- インフレリスク:長期間固定利率で運用されるため、インフレが進むと実質的な価値が目減りする可能性があります。
定期預金とは?その特徴とメリット
定期預金の概要
定期預金は、一定期間お金を銀行に預けることで利息を得られる金融商品です。元本保証があり、安全性が高いことが特徴です。
定期預金のメリット
- 元本保証:金融機関が破綻しても1,000万円までペイオフ制度で保護されます。
- 流動性の選択肢:短期間(1ヶ月〜数年)の運用期間を選べるため、必要なタイミングで利用しやすいです。
- 近年の金利上昇:銀行の定期預金金利は0.5〜1.0%程度まで上昇しており、以前よりも利回りが改善しています。
- インフレ対応の柔軟性:市場金利の上昇に応じて新しい定期預金に預け替えができるため、インフレリスクにある程度対応可能です。
定期預金のデメリット
- 利回りが低い:学資保険や投資信託と比べると利回りは低く、大きな増加は期待できません。
- 保障機能なし:契約者に万一のことがあっても特別な保障はありません。
学資保険と定期預金の比較
項目 | 学資保険 | 定期預金 |
---|---|---|
目的 | 教育費+保障 | 教育費や他目的で自由に利用可能 |
利回り | 高め(返戻率100〜118%) | 金利上昇後でも0.5〜1.0%程度 |
流動性 | 満期まで引き出し不可 | 短期間でも引き出し可能 |
保障機能 | 親死亡時などで払込免除+満期金受取 | なし |
インフレ耐性 | 弱い | 金利上昇時には強い |
リスク管理 | 途中解約による元本割れリスクあり | 市場金利変動による利息変動リスクあり |
学資保険と定期預金を併用する方法
両者には明確な違いがありますが、それぞれの強みを活かして併用することで教育費準備をより効果的に行うことができます。
併用プラン例
- 短期的な教育費(小学校〜高校)には定期預金を活用
- 流動性を重視し、急な出費にも対応できるよう普通預金や短期間の定期預金で準備。
- 特に入学時や習い事など、小額で頻繁に発生する支出には適しています。
- 長期的な教育費(大学進学)には学資保険を活用
- 大学入学時や在学中の費用には学資保険で計画的に備える。
- 万一の場合にも保障機能で安心感を確保。
- 余裕資金にはNISAやつみたてNISAを活用
- 新NISAは非課税枠を活用して長期的な資産形成ができるため、教育費の準備に適しています。
- 成長投資枠を活用すれば、定期預金や学資保険よりも高いリターンを期待できる可能性があります。
まとめ
教育費準備には「学資保険」と「定期預金」の併用がおすすめです。近年の金利上昇により、選択肢が広がりました。
短期的な学費は流動性を重視し定期預金で確保し、大きな支出には学資保険で計画的に備えましょう。
例えば、小学校から高校までの学費は年間50万〜100万円、大学の入学金や4年間の学費は最低でも400万円以上必要になるため、適切な資産配分が重要です。
家庭の状況に応じて最適なプランを選び、こどもの未来に確実に備えましょう。