算数の文章題を「解かせる」のはもう古い?
生徒に問題を作らせることで生まれる驚きの学習効果

Overseas Education News #04 Math as a Creative Tool

日本の算数教育は、正確な計算力と迅速な解法(アルゴリズム)の習得において世界トップクラスですが、私たちが向き合う課題は「解く力」の先にある「生み出す力」の差です。

今回は、海外(ニュージーランドや欧米の先進事例)で行われている「問題作成型学習」と、日本の伝統的な学習法の違いを解説します。

いかに「正確に解くか」になりがち

まず、日本の算数の授業は、先生が提示した問題をいかに正確に解くかという時間になりがちです。しかし、海外の先進的な教室では、生徒が自ら「問題の作者」になることで、学びの質を劇的に変えています。

日本の学習の多くは、与えられた数値に公式を当てはめる「受動的な消費」の時間が多いのに対して、「問題作成型学習」において生徒が問題を自ら作るためには、数学的な構造を理解し、論理的に再構築(アウトプット)する必要があります。

また、学習評価については、日本ではテストの点数が100点に近いほど理解をしていると見なされますが、海外での視点はテストの点数に加えて「他人が解ける問題を作成することでその概念をマスターしたと言える」という、より高い習得基準を設けているのです。

「遊びと勉強」を切り離しがち

日本の教科書に出てくる文章題は、いまだに「リンゴを5個買いました」といった設定が少なくありませんが、海外での作問課題では、自分の大好きな「Minecraft」や「Roblox」の世界観、あるいは推しのアイドルのエピソードを問題に組み込みます。

「遊びと勉強」を切り離しがちな日本に対して、海外では「遊び(関心事)を数学というフィルターで読み解くツール」として算数を捉え直させています。この違いは、学習に向かう熱量の差として表れるのではないでしょうか。

1対1での対話

最後に、テストの点数だけでは見えない「子どもの頭の中」の可視化においても、大きな違いがあります。

「問題作成型学習」では、先生と生徒が1対1で「なぜこの問題を設計したのか」を対話します。これにより、仮に計算課題は正解していても「概念」を誤解しているなど、見落とされがちな「思考の落とし穴」が見つかりやすくなります。この「対話型評価」こそが、AI時代に求められるメタ認知能力(自分の思考を客観視する力)を育む鍵となっています。

ある内気な生徒が、自作の問題をクラスメートが解いてくれた経験から自信をつけ、のちに教師を目指すようになったエピソードがあります。日本の算数教育が「正解か不正解か」の評価に重きを置く一方で、海外のこの手法は「自分のアイデアが他人の学びに貢献した」という自己効力感を重視しています。

まずはご家庭で、「明日のテストに出そうな問題を1問作って、私に見せて」と提案してみてはいかがでしょうか?「解く側」から「作る側」へ視点が変わったとき、算数は苦行からクリエイティブな遊びへと変貌します。