今回は夏休み特別編として、キッズノミクスでも取り上げた「渋沢栄一が設立に関わり、今も大企業として日本経済を支える会社」を紹介します。夏休みの自由研究テーマとして、より詳しく調べてみるのもおすすめです。第一国立銀行(合併等を経て現在のみずほ銀行)や、元々が官営の富岡製糸場(現 片倉工業)の創立を起点として日本経済の発展を考えるのも面白いでしょう。

本記事は帝国データバンクのプレスリリースをもとにご紹介します。

渋沢 栄一 (1840-1931 年)

1840年に埼玉県で生まれた日本の実業家で、「日本資本主義の父」と呼ばれています。
幕末には徳川幕府に仕え、パリ万国博覧会に参加した後、日本の近代化に大きく貢献しました。約500社の企業設立や運営に関わり、第一国立銀行や東京証券取引所などの重要な金融機関も設立しました。彼の理念である「道徳経済合一説」は、道徳と経済活動を両立させることを重視し、現代の企業経営にも影響を与えています。

帝国データバンクプレスリリース資料より

渋沢栄一が関わった企業数と現存する企業数
渋沢栄一が設立や運営に関わった企業は約500社。その中でも現在も続いている企業は167社あります。上記の表以外で代表的な企業は以下の通りです。(一例)

  • 株式会社IHI – 重工業の大手企業
  • 王子ホールディングス株式会社 – 紙パルプ業界の大手企業
  • 株式会社毎日新聞社 – メディア業界の大手企業
  • 清水建設株式会社 – 建設業界の大手企業
  • 片倉工業株式会社 – 製造業の大手企業
  • 株式会社第四北越銀行 – 地方銀行
  • 大成建設株式会社 – 建設業界の大手企業
  • 日本紙パルプ商事株式会社 – 紙パルプ業界の大手企業
  • 三越伊勢丹ホールディングス – 百貨店業界の大手企業
  • 株式会社東京証券取引所 – 金融市場の中核企業

渋沢栄一が関わった売上高トップの企業
渋沢栄一が関わった企業の中で、売上高が最も高いのはENEOSです。他にも三菱UFJ銀行や三井住友銀行などの大手銀行も上位に入っています。

渋沢栄一が関わった業歴トップの企業
最も歴史のある企業は三越伊勢丹で、1673年に創業されました。他にも多くの老舗企業が渋沢栄一の影響を受けて発展してきました。

渋沢栄一が関わった企業の業種別トップ3

  • 製造 49社(うち化学10社)
  • 金融・保険 35社(うち金融機関24社)
  • 運輸・通信 22社(うち鉄道13社)

渋沢栄一が活躍した明治時代(資本主義経済黎明期)に、上記のような業種が特に求められていたことがわかります。

渋沢栄一の理念「道徳経済合一説」とは
経済活動と道徳を両立させるという考え方。
社会福祉事業にも注力した渋沢は、正しい志・道徳観に基づいて世の中のために働くことで利益を得られるとする「道徳経済合一説」を重んじたことでも知られています。企業は利益追求とともに、社会のために尽くす「公益」も追求した考えを持っていました。貧困者の救済なしでは社会全体が駄目になるという思想から、様々な福祉活動にも携わっています。
また、経済を強くするためには「教育」が不可欠との考えから、数々の大学創立にも携わりました。

新紙幣の1万円札となり、注目される渋沢栄一が、上記のように今も日本経済を牽引するような企業に関わっていたことを親子で話してみませんか。

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記事作成者

清水 裕矢

株式会社Progress CFO / 一般社団法人こども未来投資プロジェクト 代表理事

学習塾講師等を経て、2006年に外資系産業ガス企業で財務経理・人事総務責任者となる。以降複数企業にて財務経理責任者やCFOを歴任。現在も複数企業の会計アドバイザー等を務める。社会・経済探究・金融リテラシー講座 CA$H! 講師/カリキュラム・テキスト作成。
2023年11月30日に「キッズノミクス -クイズで学ぼう、お金と経済-」を発売。