

第1回「いとをかし」って、どういう意味?

古典原文
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
―清少納言『枕草子』
現代語訳(小学生向け)
春は朝がいいな。山の向こうがだんだん白くなって、少しずつ明るくなってきて、そこに細く長く紫色の雲がたなびいているのが、とてもきれいだ。
小学生向けのポイント解説
「いとをかし」は、とってもおもしろい!きれい!心が動く!という意味です。清少納言は、いろんな季節の“いいな!”と思う瞬間を見つけては書き残していたんだ。みんなも、自分の「いとをかし」な瞬間を見つけてみよう!

大人向けの解説

平安時代の貴族たちは「季節の移ろい」や「風景の美しさ」を言葉にして楽しむ文化を持っていました。この文章は、清少納言の“美の感性”が凝縮された冒頭の一節です。“いとをかし”は、単なる「きれい」だけでなく、「趣深い」「味わいがある」という日本独自の情緒を含んでいます。お子さまと一緒に「今日は何が“いとをかし”だった?」と話し合ってみるのもおすすめです。
記事作成者

長尾 一毅
合同会社Accompany 代表
15年以上にわたり小・中・高校生の国語指導を担当。読解力こそ全教科の基盤と考え、集団授業から個別家庭教師まで多様な教え方を実践し、生徒の理解度に応じた指導を行う。脳科学の知見を交えた問いかけと対話を重ねることで、「自分で考え抜き、答えを導き出す」習慣を育む指導に定評がある。