
第11回 昔の不思議だな、を探してみよう!

古典原文
夢を取られざらましかば、大臣までもなりなまし。
―『宇治拾遺物語』(第一六五話)
現代語訳(小学生向け)
もし夢を取られていなかったら、大臣にまでも昇進したであろう。
子ども向けの解説
今回は『宇治拾遺物語』という説話集を取り上げます。説話とは、昔から言い伝えられ、書き伝えられてきたお話です。みなさんは「こぶとりじいさん」「わらしべ長者」などの昔話を読んだことはありますか。これらの昔話をふくめた様々なお話をまとめたものが説話集です。
(ただし、以前取り上げた「かぐや姫」だけはもっと前の時代ですが…)
不思議な話、怖い話、笑い話など色々な話がのっていて面白いですよ!動物が話したり、鬼や妖怪などが出てきたりする話もあります。
その中で感じてほしいのが、昔の人の考え方と今の人の考え方のちがいです。夢でも今と昔では考え方がちがっていました。たとえば、「友達が出てくる」夢を見ると、今では自分が友達のことが気になっているからと考える人が多いのに対して、昔は「その友達が自分のことを考えている」と考えられていたようです。今とは逆ですね。
また、夢は未来のお告げとも信じられていました。さらに、夢は売り買いできるもので、もしよい夢を盗まれたりすると、その夢が告げているよい将来までうばわれてしまうとも考えられていたようです。だから、ある話の最後には「夢は人に聞かせてはならない」という教訓が物語の最後に書かれています。 昔と今の物事についてのいろいろな考え方のちがいを、「変だな」「不思議だな」と感じながら、物語集の中のいろいろな昔話をぜひ、読んでみてください!

親世代・祖父母世代向けの解説

『宇治拾遺物語』は鎌倉時代に成立したと言われている説話集です。説話とは「実際にあったと書き伝え、言い伝えられている出来事」を指します。これらの説話を集めたものは、説話集と呼ばれ、主なものとしては『宇治拾遺物語』『十訓抄』などがあります。
収録されている説話の話題は多岐にわたり、教訓めいた話、不思議な話、笑い話など豊富で、登場人物、舞台も様々です。今でも昔話として親しまれている「こぶとりじいさん」「わらしべ長者」などの話も『宇治拾遺物語』には収録されています。そこには当時の人々の風習や考え方が色濃く残っています。

当時の仏教的な世界観、様々な物事についての、今とは異なる人々の考え方を知るための入門書としては絶好の書です。 ぜひ、説話集の中の面白そうな話を一緒にお子様とお読みいただき、今の感覚とは異なる考え方、風習などを見つけて、話し合ってみてください。
記事作成者

長尾 一毅 (ながお かずき)
15年以上にわたり小・中・高校生の国語指導を担当。読解力こそ全教科の基盤と考え、集団授業から個別家庭教師まで多様な教え方を実践し、生徒の理解度に応じた指導を行う。脳科学の知見を交えた問いかけと対話を重ねることで、「自分で考え抜き、答えを導き出す」習慣を育む指導に定評がある。
