イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が発表した「THE学際科学ランキング2025」で、日本の大学が世界に存在感を示しました。このランキングは、複数の科学分野を統合した学際的な研究でグローバルな課題解決に貢献する大学を評価するもので、東北大学をはじめとする33校がランクインしました。
調査概要
- 調査期間: 2019年–2024年
- 調査方法: 学術記事の分析と大学評価データを導入
- 調査依頼元: Times Higher Education (THE)、シュミット・サイエンス・フェローズ
- 評価指標: 科学研究費用、研究アウトプット等
トップ5大学(世界ランキング)
- マサチューセッツ工科大学 (MIT) - 学際的な研究をリードし、特に工学と技術分野で世界的な評価を得ています。
- スタンフォード大学 - 革新的な研究や起業家精神が強みで、幅広い分野で学際性を発揮。
- シンガポール国立大学 (NUS) - アジアトップの大学として、グローバル課題への貢献が注目されています。
- カリフォルニア工科大学 (Caltech) - 少人数制の教育と最先端の研究に特化した大学。
- デューク大学 - 医療分野をはじめ、学際的研究で高い評価を得ています。
トップ5大学(日本ランキング)
- 東北大学(世界37位) - 学際的研究で国内トップの評価を得ており、幅広い分野で活躍。
- 大阪大学(世界53位) - 国際共同研究やイノベーションが強み。
- 筑波大学(世界77位) - 学際性を重視した研究体制が評価されています。
- 熊本大学(世界122位) - 地方国立大学ながら、学際的研究の成果を上げています。
- 慶應義塾大学(世界151位) - 私立大学として唯一のランクイン。伝統と革新のバランスが評価されています。
地方国立大学の健闘が目立つ
日本国内で最も高い順位にランクインしたのは東北大学で、世界ランキングでは同率37位に位置づけられました。続いて、大阪大学(53位)、筑波大学(同率77位)といった主要国立大学が名を連ねています。
一方で、地方国立大学の活躍も目立ちます。例えば、熊本大学は国内6位、全体では122位にランクイン。国立大学以外にも、私立大学として慶應義塾大学が同率151位で最上位に入り、東京理科大学(401-500位)、中央大学、近畿大学(いずれも501-600位)が後に続きました。
慶應義塾大学が私立大学のトップにランクイン
今回のランキングで、私立大学として国内最上位にランクインしたのは慶應義塾大学(151位)です。同大学は長い歴史を持ち、日本国内外での評価が高い教育・研究機関として知られています。特に、医学、経済学、情報科学など幅広い分野での研究が評価されています。加えて、産学連携や国際共同研究に注力している点も、今回のランキングでの高評価につながったと考えられます。
また、東京理科大学や中央大学、近畿大学もランキングに名を連ね、それぞれが特色ある教育プログラムや研究活動を展開しています。たとえば、東京理科大学は理工系分野での教育と研究が特に強みであり、国内外からの学生にも人気です。一方で中央大学は法学やビジネス分野における実践的な教育で評価を得ています。
私立大学が持つ強み
私立大学の特徴として、比較的自由なカリキュラムや、グローバルな視点での教育プログラムの提供が挙げられます。さらに、企業との強いつながりを活かしたインターンシップやキャリア支援など、学生に実践的な経験を提供する取り組みが目立ちます。
これらの私立大学の努力が、今回のランキングでの評価にも反映されているといえるでしょう。
学際科学ランキングの評価基準
「THE学際科学ランキング」では、大学の研究活動を以下の3つの視点から評価しています。
- インプット:研究資金の規模や外部からの資金調達
- プロセス:学際的な研究を推進するための支援体制や昇進プロセス
- アウトプット:研究成果の質と影響力(論文数や引用数など)
これらの指標をもとに、世界中の大学が学際的研究をどれほど重視し、成果を出しているかが測定されます。
日本の大学における学際科学の意義
今回のランキングは、学際的な視点を重視する大学が高く評価されています。日本の大学はこれまで、専門分野に特化した教育が中心でしたが、グローバル課題を解決するためには、複数の分野を融合させた学際的アプローチが必要不可欠です。
例えば、東北大学は材料科学や再生可能エネルギーに関する研究で国際的に高い評価を受けています。一方で、熊本大学のような地方国立大学も地域課題を解決する学際的研究で存在感を発揮しています。
まとめ
- 東北大学が国内トップで世界37位にランクイン
- 地方国立大学や私立大学が学際科学分野で健闘
- 学際的アプローチが未来の課題解決に重要
日本の大学が学際科学ランキングで健闘した一方、課題も見えています。たとえば、トップ10に入る大学がなかった点は、研究資金や国際共同研究の不足が影響していると考えられます。また、参加していない東京大学や京都大学、九州大学などの動向にも注目が集まります。
今回のランキングは、日本の大学が持つ可能性を再認識する機会でもあります。大学選びを考える際に、学際科学への取り組みがどのように自分の未来に影響を与えるか、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?
以下は本記事のもとになった「THE学際科学ランキング2025」のページです。
Interdisciplinary Science Rankings 2025 | Times Higher Education (THE)
Explore the top ranked universities for interdisciplinary science research Discover the top universities worldwide for interdisciplinary science research with the inaugural Times Higher Education Inte