第12回 世界最古の長編小説、源氏物語

古典原文
いづれの御時おおんときにか、
女御にょうご更衣こういあまたさぶらひたまひけるなかに、
いとやむごとなききわにはあらぬが、
すぐれて時めきたまふありけり。
―『源氏物語』

現代語訳(小学生向け)
どの帝(天皇)の時代であったか、大勢のお后様たちがお仕えしているなかで、身分はそれほど高くはなく、ひときわ帝に愛されていた后がいました。

源氏物語は、今から約千年前の平安時代に、紫式部という女性によって書かれた、世界で最も古い長編小説といわれています。これまでに30ヵ国以上の言語に翻訳されており、千年以上たった今も多くの国の人に愛されています。作者の紫式部は「世界の偉人」に選ばれるほどの有名人なんですよ。源氏物語は日本だけでなく、世界の古典の中でも、最も有名な作品の一つといえます。

源氏物語は、全部で54じょう(巻)ある長編小説です。冒頭の文で登場するお后様の子どもが、主人公の源氏の君です。そのかがやくほどの美しさから光源氏とよばれた源氏の君の恋愛や人生、そしてその子どもたちの物語が描かれます。

物語には、さまざまな魅力的な女性、はなやかな宮中の人々の生活だけではなく、人生における辛い別れや悲しみも描かれています。また、物語を通して、登場人物たちが喜びや悲しみ、悩みながらも成長する様子も描かれています。

「源氏物語」はとても長い小説ですが、やさしめに書き直されたものもあります。ぜひ一度読んでみてほしいと思います。

また、ぜひ挑戦してほしいのは、冒頭の部分の暗唱です。とても有名なフレーズで、リズムもいいですので、ぜひチャレンジしてみてください。

作者の紫式部は幼いころからとてもかしこく、父親が兄弟に勉強を教えていると、そばで聞いていた紫式部は、兄弟より先にいろいろなことを覚えてしまったそうです。

その紫式部が「源氏物語」を書き始めたのは、夫をなくしてからともいわれ、宮中で仕事をしている間にも物語は書き進められました。宮中でも、紫式部の書く物語は評判となっていたようです。

源氏物語は、平安時代中期の女性である紫式部によって書かれた、日本最古とも伝わる長編小説です。源氏の君の誕生から栄華と苦悩、その子孫にわたる約70年の物語が、3部構成・全54帖で語られています。源氏物語は30カ国以上の言語に翻訳され、作者の紫式部はユネスコの「世界の偉人」にも選ばれています。

清少納言の『枕草子』が、彼女の機転や知的な気づきにあふれた「をかしの文学」とされるのに対し、登場人物の繊細な心情描写や、しみじみとした情趣にあふれた源氏物語は、「もののあはれの文学」とも言われます。

源氏物語の冒頭のフレーズはとても有名です。冒頭だけでなく、最初の「桐壺」の部分をどこまで暗唱できるか、お子様と少しずつチャレンジしてみてもいいかもしれません。いずれ高校範囲で習うであろう有名な古典単語も数多く登場しますよ。

記事作成者

長尾 一毅 (ながお かずき)

合同会社Accompany 代表

15年以上にわたり小・中・高校生の国語指導を担当。読解力こそ全教科の基盤と考え、集団授業から個別家庭教師まで多様な教え方を実践し、生徒の理解度に応じた指導を行う。脳科学の知見を交えた問いかけと対話を重ねることで、「自分で考え抜き、答えを導き出す」習慣を育む指導に定評がある。