親として、どんな未来を準備する?
「幼稚園からAI」UAEの決断から考える、学びのあり方

Overseas Education News #07 AI as a Mother Tongue

アラブ首長国連邦(UAE)が発表した「幼稚園からのAI教育」。このニュースを耳にしたとき、日本の保護者の多くが「えっ、そんなに小さいうちから?」と驚かれたかもしれません。私たちが大切にしてきた「子どもらしい成長」と、世界が目指す「AI時代の生存戦略」。この二つのアプローチの違いは、とても興味深いものです。UAEの事例を参考に、日本との違いを少しだけ紐解いてみましょう。

デジタルとの向き合い方

日本でもプログラミング教育が必修化されるなど、教育現場におけるデジタルとの向き合い方に変化が起きていますが、UAEの取り組みは、そのスピード感や捉え方において日本とは少し異なる「未来の描き方」をしています。

UAEでは幼稚園児からAI教育を始めます。彼らにとってAIは、後から学ぶ「教科」ではなく、言葉と同じように、当たり前に使う「脳内のOS(基盤)」のようなものと位置づけられています。

日本では、幼児期はデジタルよりもまずは実体験や身体を使った学びを重視する傾向にあります。これは子どもの発達を丁寧に守る、日本らしい慎重かつ温かい教育姿勢と言えるかもしれません。

倫理か、安全か

一方、UAEの教育で特筆すべきは、AIの技術的な仕組みと「倫理(使い方の良心)」をセットで教えている点です。「AIを使いこなすには、その中身を理解していないと、制御もできない」という考え方です。

日本では「ネットリテラシー」や「デジタル・シティズンシップ」として、安全な使い方やトラブル回避を教えることに重きが置かれます。技術を深掘りする前に、まずは「安全に付き合う」ことを優先する日本のスタイルには、子どもをトラブルから守ろうとする優しさが感じられます。

未来についてどれだけ想像できているか?

UAEでは2017年から「AI担当大臣」を置き、高等教育から幼児教育までを一本の線でつなぐ「AI国家戦略」を完遂しようとしています。

日本の教育は、現場の先生や各学校の工夫を大切にし、時間をかけて浸透させていく「ボトムアップ型」の側面が強いものです。効率性はUAEに劣るかもしれませんが、現場の試行錯誤を大切にする日本らしさには、別の形の豊かさがあるのではないでしょうか。

今回ご紹介したUAEのニュースは、決して「日本も早く追いつけ」というプレッシャーをかけるものではありません。むしろ、「私たちは子どもたちが生きる未来についてどれだけ具体的に想像できているか?」を問いかけるニュースだと考えます。AIを「言葉のように使う」UAEの子どもたちと、実体験を通して「丁寧な論理」を育む日本の子どもたち。どちらの未来も、きっと素敵なものになるはずです。

このニュースをきっかけに、家庭での「デジタルとの付き合い方」を改めて話し合ってみるのも、良い機会となるでしょう。