
#12 思いやりのある植木屋さん(SDGs 12:つくる責任、つかう責任)
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朝の光がやわらかく広場を照らしていました。
リリー、ティミー、エマ、ベンの4人は、いつもの花だんの前で足を止めました。
昨日まで元気だった花が、どこか元気をなくしているのです。
土は少しかたく、色もくすんで見えました。
「どうして、こんなに元気がないんだろう?」
エマがそっとつぶやきます。
風は吹いているのに、花はうつむいたまま。
それは、大きな事件ではありません。
でも、4人にとっては見過ごせない“ちいさな違和感”でした。

花だんの横には、欠けた植木ばちや、古い板きれが置かれていました。
いつもなら「新しいものを買えばいい」と思ってしまうかもしれません。
でも、リリーは言いました。
「まだ、使えるかもしれないよ。」
ベンは割れた鉢をそっと持ち上げ、
ティミーは板を合わせてみます。
エマは落ち葉を集めて、土にまぜてみました。
少しずつ、花だんは変わりはじめます。
新しいものを増やす前に、今あるものを生かす。
それも、立派な“つくる責任”なのだと、4人は気づきはじめていました。

新しい種を手にしたとき、ティミーが言いました。
「これ、きれいだけど……この町に合ってるかな?」
4人は円になって、種を見つめます。
日当たり、水の量、土の質。
ただ植えるのではなく、考える時間を持ちました。
「きれいな花」よりも
「ここで元気に育つ花」を選ぶこと。
それは、“つかう責任”でした。
買うこと、植えること、増やすこと。
どれも自由だけれど、
自由には、考える時間が必要なのだと、4人は知ります。

やがて、花だんはゆっくりと元気を取り戻しました。
鮮やかな色が広場に広がります。
でも、4人がうれしかったのは、花そのものよりも、
「どうするか」を一緒に考えた時間でした。
夕方の光の中で、リリーが言いました。
「大切にするって、こういうことなんだね。」
思いやりのある植木屋さんとは、
たくさん植える人ではありません。
今あるものを見つめ、
どう生かすかを考える人。
その小さな選択が、
町を、そして地球を、少しずつ守っていくのです。



