『シリーズ国語授業づくり語彙』(監修:日本国語教育学会)には「語彙学習の方法論」として語彙学習の二つの方法が紹介されています。

取り立て指導」と「取り上げ指導」です。

「取り立て指導」とは語彙としての特徴を学ぶ機会を独立して設ける方法のことで、「類義語」や「対義語」などのテーマを取り立てて扱います。

ワークシート等での繰り返し学習では、語彙の知識は身につきますが語彙の学び方は身につきません。

気づき合いを通して語彙についての理解を深め、「どうやって語彙を学んでいくのか」という学び方を学ぶことができます。

例えば、ある文から引用して次のような問いかけを講師がします。

「『冷たい』と『寒い』という二つの言葉が使われていたけど、どんなふうに違うのだろうね」

「冷たい水」とは言いますが「寒い水」とは言いません。子どもたちは日常生活での言葉の使い方をもとに徐々に課題意識が高まり、様々な言い方を集めます。

グループごとにことばの仲間分けをする活動を通して、子どもたちは気づきを得ます。子どもたちの対話的な学びを通して、言葉についての「きまり」を発見し合うことができるように導くのも講師の重要な役割です。

次回は「取り上げ指導」についてご紹介します。

記事作成者

秦 有樹

株式会社Progress CEO / 株式会社インフィニットマインド 代表取締役

大学卒業後から現在に至るまで民間の教育機関で講師、フランチャイズ事業、総務、マーケティング、教材開発など幅広く職務に従事する。
2023/9/11 「ワーキングメモリを鍛える ながら脳トレ30」を出版。(4書店でビジネス書部門売上No.1を獲得)