

『シリーズ国語授業づくり語彙』(監修:日本国語教育学会)には「語彙学習の方法論」として語彙学習の二つの方法が紹介されています。
「取り立て指導」と「取り上げ指導」です。
「取り立て指導」については、前回のコラムで取り上げさせていただきましたので、ご参照ください。本日は「取り上げ指導」について引用をします。
「取り上げ指導」は、読んだり書いたりする学習をしている最中に、必要な単語を取り上げて(取り出して)、語彙としての特徴を考えさせる方法です。「取り上げ指導」では、取り上げた単語の理解が深まるのと同時に、それによって作品の読みも同時に深まります。
「スーホの白い馬」に出てくる「はねおきる」という言葉を例にした指導のケースでは、
・「はねおきました」の部分を「おきました」と変えた文を用意し、もとの文と比較させて複合語への興味を持たせる
・「はねおきる」を使った短文づくり等を通して「はねる」と「はねおきる」との意味の違いを理解する
・身の回りの複合語について考える
・「起きた」のではなく、「跳ね起きて」かけていった時のスーホの様子を想像させる
読んでいるまさにその場面で、必要な単語を取り上げて指導することが効果的である、とあります。そこでの気づきが読みの深まりに生かされるのです。
このように、ひとつの表現が語彙の世界を広げ、作品の味わいにもつながりますのでぜひ参考にしていただき、こどもの学習指導に活かしてください。

記事作成者

秦 有樹
株式会社Progress CEO / 株式会社インフィニットマインド 代表取締役
大学卒業後から現在に至るまで民間の教育機関で講師、フランチャイズ事業、総務、マーケティング、教材開発など幅広く職務に従事する。
2023/9/11 「ワーキングメモリを鍛える ながら脳トレ30」を出版。(4書店でビジネス書部門売上No.1を獲得)