『教え方のプロ・向山洋一全集⑫家庭教育の指針』(明治図書)には、「子どもを育てるポイント」として以下が記載された章があります。

今から300年以上前に江戸時代の儒学者である細井平洲さんが「教育」について次のように言っています。

『教育とは、菊好きの人間が菊を作るようにしてはならない。百姓が野菜や大根を作るようにすべきなのだ。』

なぜ、菊を作るようにしてはいけないのだろう。それは、菊を育てる人というのは、自分の理想の形があって、それに合わないもの、欠点の目につくものを摘んでいってしまう。そして最後に二つか三つのつぼみを残し、そのうちの一つで大輪の菊を咲かせるのである。菊作りには素晴らしい方法であろう。でも、これを子育てにやると、「大きなマイナス」になると、さとしているのである。

一方、農民が野菜を作るとき、欠点のあるものを捨てるなどということはない。日陰に咲いたものも、うねで実をつけているものも、それぞれに(つまりそれぞれの条件ごとに)精いっぱい育ってほしいと、手をさしのべる。

教育とは、このように一人ひとりの条件がちがっても(相手に合った方法で)手をさしのべることがたいせつなわけである。親の都合で叱ってばかりいても、決して効果は上がらないものだ。

向山洋一
『教え方のプロ・向山洋一全集⑫家庭教育の指針』(明治図書)

子どもたちが健やかに伸びる「環境」は、空間としての環境という意味だけでなく、大人など周囲の「考え方・姿勢」がとても大切であると感じました。

記事作成者

秦 有樹

株式会社Progress CEO / 株式会社インフィニットマインド 代表取締役

大学卒業後から現在に至るまで民間の教育機関で講師、フランチャイズ事業、総務、マーケティング、教材開発など幅広く職務に従事する。
2023/9/11 「ワーキングメモリを鍛える ながら脳トレ30」を出版。(4書店でビジネス書部門売上No.1を獲得)