『脳科学の知見に基づく国語科授業の進め方』(明治図書)に以下の記載があります。

今、「脳科学の研究」が進み、「脳科学の知見」をかなり得ることができるようになった。それゆえ、これまで全く見えなかったブラックボックス状態の「こどもの反応」についても、こどもの脳の中での働きが少しずつ見えてきて、なぜ、この発問・指示をすれば、こどもたちが活動的になるのかもわかってきた。

新出漢字の指導については、
①指書き
②なぞり書き
③写し書き

といった流れで、「あかねこ漢字スキル」を活用することで一定のサイクルで学習に取り組むことができる

このステップ(あかねこ漢字スキルの構成)で行えば、こどもたちは「今日は練習ページだ」という見通しを立てることができる。見通しを持たせることは、特にアスペルガー症候群(以降ASと表記する)のこどもたちにとって大切である。

脳科学の知見に基づく国語科授業の進め方
※太字・下線は当記事作成者による

また、倉敷短期大学教授の平山諭氏は、次のように述べています。

アスペルガー症候群や高機能自閉症の根本の問題は、私は対人不安だと考えます。どんな不安があるのかというと、環境が突然、前触れなく、自分のシナリオと違う方向に変わっていくことに対する不安です。(中略)突然いつものパターンとちがうことが始まるのが嫌なのです。

「親と教師のためのADHD・ASを変える環境対話法」
平山諭著 麗澤大学出版会
※太字・下線は当記事作成者による

学校の先生だけでなくこどもと関わる私たち大人が、こども自身が見通しを持ち、同じサイクルで学習に取り組める環境を整えることが大切であると思います。

記事作成者

秦 有樹

株式会社Progress CEO / 株式会社インフィニットマインド 代表取締役

大学卒業後から現在に至るまで民間の教育機関で講師、フランチャイズ事業、総務、マーケティング、教材開発など幅広く職務に従事する。
2023/9/11 「ワーキングメモリを鍛える ながら脳トレ30」を出版。(4書店でビジネス書部門売上No.1を獲得)